【完全版】これで迷わない! 特養・老健・サ高住… 介護施設への紹介状・診療情報提供書の算定ガイド

クリニックを運営されている先生方にとって、患者さんを介護施設へ紹介する際の紹介状(診療情報提供書)作成は日常的な業務の一つかと思います。しかし、その際に算定する「診療情報提供料(I)(B009)」のルール、特にどの施設なら算定できて、どの施設は算定できないのか、正確に把握されていますか?
「老健は算定できるけど、特養はダメだったはず…」「有料老人ホーム宛の紹介状は?」
本記事では、こうした疑問を持つ先生方のために、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、有料老人ホーム等への紹介状に関する診療情報提供料(I)の算定ルールについて、最新の情報を踏まえ、根拠に基づいて分かりやすく解説します。
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そもそも診療情報提供料(I)(B009)とは?
まず基本をおさらいしましょう。診療情報提供料(I)(B009)は、先生が患者さんの診療に基づき、他の医療機関や介護・福祉施設等での診療やサービス提供が必要と判断し、患者さんの同意を得て、その機関へ診療情報を提供した場合に算定できる点数です。医療・介護連携を推進するための評価と言えます。
- 基本点数: 250点(令和6年度改定時点 ※最新の情報をご確認ください)
- 基本的な算定要件:
- 診療に基づいていること: 実際の診療行為に基づく情報提供が必要です。
- 患者さんの同意: 文書での情報提供について、患者さん(またはご家族等)の同意が必要です。
- 文書(診療情報提供書)の交付: 正式な文書を作成し、紹介先へ渡す必要があります。
- 「紹介」であること: 紹介先での受診やサービス利用につながる情報提供が対象です(単なる情報共有や返事は不可)。
- 紹介先の明記: 紹介先の施設名や事業者名を具体的に記載する必要があります。
- 算定回数: 原則、同一患者・同一紹介先につき月1回までです。
- 診療録への添付: 交付した紹介状の写しをカルテに添付する必要があります。
【施設別】紹介状の算定可否をチェック!
ここからが本題です。紹介先の介護施設の種類によって、B009の算定可否が明確に異なります。
1. 介護老人保健施設(老健)・介護医療院
結論: 〇 原則、算定可能 (B009 )
老健や介護医療院は、医師の管理下で医学的管理やリハビリ等を提供する施設であり、医療提供体制の一部とみなされています。そのため、これらの施設へ患者さんを紹介する場合、B009(250点)を算定できます。
- ポイント: 患者さんの同意を得て、診療に基づき紹介状を作成・交付することが条件です。
- 注意点: 紹介元の医療機関と紹介先の老健・介護医療院が「同一敷地内にある」「同一法人グループである」など特別の関係にある場合は算定できません。
- 主な加算:
- 退院患者紹介加算 (200点): 病院等から退院する患者さんを老健等へ紹介する場合など。
- 検査・画像情報提供加算 (退院時200点/外来時30点): 検査結果や画像情報を電子的に提供する場合など。
2. 特別養護老人ホーム(特養)
結論: × 原則、算定不可
特養への入所を目的とした紹介状や、入所中の患者さんに関する一般的な情報提供では、B009は算定できません。
- 根拠: 厚生労働省の通知で、特養入所者についてはB009の一部の規定に基づく算定ができないと明確に示されています。
- 理由: 特養は主に介護保険で運営され、入所者の日常的な健康管理は配置医師が行い、その費用は介護報酬に含まれると解釈されています。外部医療機関からの一般的な情報提供は、医療保険(B009)での別途評価の対象外となります。これは医療保険と介護保険の役割分担に基づくルールです。
- 補足: このルールは、紹介元の先生が特養の配置医師であるか否かに関わらず適用されます。
3. 有料老人ホーム、サ高住、グループホーム等
結論: × 施設宛ての紹介状は原則、算定不可
有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、グループホームといった施設そのものを宛先として紹介状を作成した場合、原則としてB009は算定できません。
- 理由: これらの施設は、B009の算定対象となる「保険医療機関」「老健・介護医療院」「市町村・指定居宅介護支援事業者等」のいずれにも該当しないためです。算定対象機関として規定されていない以上、施設宛の紹介状では算定が認められません。
【重要】では、これらの施設関連で算定できる方法はないのか?
施設自体への紹介状は算定できませんが、これらの施設への入所や利用に関連する場合、以下の方法であれば算定できる可能性が高いです。
- ケアマネジャー等への情報提供として算定する (B009) 【推奨】
- 多くの有料老人ホームやサ高住等への入所に際しては、ケアマネジャーが関与し、ケアプラン作成等のために利用者の医学的情報を必要とします。
- この場合、患者さんの同意を得て、担当のケアマネジャー(指定居宅介護支援事業者)宛に必要な診療情報を提供すれば、B009の注2に基づいて250点を算定できます。
- これが最も現実的で、算定根拠が明確な方法です。 紹介状の宛先を「施設」ではなく、「ケアマネジャー」にすることがポイントです。
- 連携する特定の「保険医」への診療紹介として算定する (B009 の可能性)
- もし、その施設に協力医療機関や嘱託医として特定の「保険医」が関与しており、その医師へ今後の診療を引き継ぐ目的で紹介状を作成する場合は、その「保険医療機関」または「保険医」宛ての紹介として、B009に基づいて250点を算定できる可能性があります。
- ただし、これはあくまで**特定の医師への「診療依頼」**という趣旨が明確な場合に限られます。単に施設へ入所するための情報提供という目的では、適用は難しい点に注意が必要です。
施設別 算定可否サマリー
紹介先 | B009 算定可否 | 主な根拠・備考 |
---|---|---|
介護老人保健施設(老健)/介護医療院 | 〇 可能 | 施設宛でOK。特別の関係は不可。加算あり。 |
特別養護老人ホーム(特養) | × 不可 | 厚労省通知による(施設宛)。介護保険との関連。 |
有料老人ホーム/サ高住/グループホーム等 | ||
├ 施設自体 宛て | × 不可 | B009の算定対象機関に該当しないため。 |
└ ケアマネジャー等 宛て | 〇 可能 | 入所やサービス利用に必要な情報提供として。推奨される方法。 |
(参考)他の保険医療機関 | 〇 可能 | |
(参考)市町村/ケアマネジャー等 | 〇 可能 |
算定できない・注意すべき共通ケース
以下の点にも注意しましょう。算定対象となる施設・機関への紹介であっても、下記に該当する場合は算定できません。
- 「特別の関係」にある機関への紹介: 同一法人グループなどへの紹介。
- 紹介先での受診やサービス利用がない場合: 単なる情報共有や問い合わせへの返信。
- 紹介先が未定の場合: 転居先などが決まっていない段階での発行。
- 診療に基づかない情報提供: 患者や家族の依頼のみで、診療を行わずに書類を作成した場合。
実践的なチェックポイント
算定ミスを防ぐために、紹介状作成時に以下の点をチェックしましょう。
- 紹介先の「種類」は? (老健/介護医療院か、特養か、その他施設か、ケアマネか、他の医療機関か)
- 紹介状の「宛先」は適切か? (施設宛で算定できるのは老健/介護医療院のみ。その他施設関連はケアマネ宛が基本)
- B009の「基本要件」を満たしているか? (診療したか、患者同意はあるか、紹介目的か等)
- 算定できない共通ケースに該当しないか? (特別の関係はないか等)
- 記録は適切か? (紹介状の写しをカルテに添付、同意の記録)
まとめ
介護施設への紹介状に係る診療情報提供料(I)(B009)の算定ルールは、紹介先の種類と宛先によって異なります。
- 老健・介護医療院: 施設宛で算定可能
- 特養: 施設宛では算定不可
- 有料老人ホーム・サ高住・グループホーム等: 施設宛では算定不可。しかし、ケアマネジャー宛に情報提供すれば算定可能。
特に有料老人ホーム等への紹介では、宛先を施設ではなくケアマネジャーとすることで適切に算定できるケースが多いことを覚えておきましょう。日々の診療で判断に迷う場面もあるかと思いますが、本記事の情報を参考に、適切な請求を心がけていただければ幸いです。
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