【開業医向け】患者さんの不満No.1「待ち時間」を完全解消!原因分析から対策方法までを徹底解説!

先生のクリニックでは、「待ち時間」について患者さんからご意見をいただくことはありませんか?多くの調査で、患者さんが医療機関に抱く不満の第1位は、常に「待ち時間の長さ」です。
「待つのは仕方ない」と思われがちですが、この問題は患者さんの不快感だけでなく、クリニックの評判や経営、さらにはスタッフの皆さんの働きがいにも関わる、実はとても重要な課題なのです。
この記事では、クリニックの待ち時間がなぜ問題なのか、その原因はどこにあるのか、そして明日から取り組める具体的な対策、特にITツールの活用法まで、分かりやすく解説していきます。
「待たされる…」患者さんのホンネと待ち時間が経営に与える影響
意外と短い?でも不満は多い?待ち時間のリアル
厚生労働省の調査などを見ると、実は多くの患者さんは「1時間未満」で診察を受けています。例えば令和5年の調査では、約7割が1時間未満でした。特にクリニックのような比較的小規模な医療機関では、待ち時間は短い傾向にあります。
しかし、データ上は短くても、患者さんの不満が最も集まるのが「待ち時間」なのです。なぜでしょうか?
患者さんが待ち時間にイライラする本当の理由
単に時計が進むのが遅いから、だけではありません。患者さんがストレスを感じるポイントは他にあります。
- いつ呼ばれるかわからない不安: 「あとどれくらい待つの?」「順番はちゃんと来てる?」という不確実性は、大きなストレスになります。「待ち時間が表示されるだけでも違うのに」と感じる患者さんは多いです。
- 不公平感: 予約したのにすごく待たされたり、後から来た人が先に呼ばれたりすると(たとえ緊急対応でも)、説明がないとモヤモヤします。
- スタッフの対応: 忙しいのは分かっていても、遅れている理由を尋ねた時に明確な説明がなかったり、ぞんざいに対応されたりすると、不満は一気に高まります。丁寧な声かけ一つで印象は変わります。
- 待つ環境が良くない: 待合室が狭い、椅子が硬い、暑い・寒い、他の患者さんとの距離が近すぎるなど、待つ空間が快適でないこともストレスの原因です。
- 「時間を無駄にしている」感覚: 患者さんは、貴重な仕事やプライベートの時間を割いて来院しています。ただ待つだけの時間は、「自分の時間が奪われている」と感じさせてしまいます。
特に「30分~40分」を超えると、患者さんの不満は急激に高まる傾向があるようです。
待ち時間が長いと起こるコト(患者離れ、悪評、スタッフ疲弊…)
待ち時間への不満は、クリニック経営にもじわじわと影響を及ぼします。
- 患者さんが離れてしまう: 「あそこはいつも待つから…」という理由で、他のクリニックに移ってしまう可能性があります。ある調査では、待ち時間が長いと約6割の患者さんが他のクリニックへの変更を考えるそうです。
- ネガティブな口コミが広がる: 不満を感じた患者さんは、家族や友人に話したり、ネットの口コミサイトやSNSに書き込んだりするかもしれません。悪い評判は、新しい患者さんの足を遠のかせてしまいます。
- 再診率が下がる: 継続的な治療が必要な患者さんでも、「また待つのか…」と思うと、通院が億劫になってしまうことがあります。これは治療効果にも、クリニックの安定経営にもマイナスです。実際に、待ち時間短縮でリピート率が向上し、収益が増加したという事例もあります。
- スタッフが疲弊してしまう: 患者さんからのクレーム対応は、受付や看護師の皆さんにとって大きなストレスです。常に時間に追われ、お叱りを受ける環境は、モチベーションの低下や離職にもつながりかねません。
このように、待ち時間問題は単なる患者サービスの問題ではなく、クリニック経営の根幹に関わる重要な課題なのです。
ウチのクリニックはなぜ?待ち時間が長引く主な原因チェックリスト
待ち時間が長くなる原因は一つではなく、様々な要因が絡み合っています。自院の状況を振り返ってみましょう。
- 患者さんの来院パターンは?
- 朝イチや診療終了間際など、特定の時間に患者さんが集中していませんか?
- 予約制でも、予約外の患者さんが多くて時間が読めなくなっていませんか?
- そもそも、クリニックの処理能力(医師・スタッフ数、設備)に対して患者さんの数が多すぎませんか?
- クリニック内の業務に非効率な点はない?
- 紙カルテの出し入れや手書き作業に時間がかかっていませんか?
- 受付→問診→診察→検査→会計の流れ(患者動線)で、どこか滞っている箇所はありませんか?
- スタッフの人数は足りていますか? 役割分担は適切ですか?(例:受付が電話対応に追われすぎている)
- 初診患者さんの登録や、会計処理に時間がかかりすぎていませんか?
- 診察室でのアレコレは?
- 一人ひとりに丁寧に対応したいけど、結果的に診察時間が長くなりがちではありませんか? (丁寧さとスピードのバランスは永遠の課題ですね)
- 診察中に予期せぬ問題が見つかったり、説明に時間がかかったりすることが多くありませんか?
- 急患や重症患者さんの対応で、他の患者さんの待ち時間が大幅に延びることがありませんか? (これは仕方ないですが、他の患者さんへの説明は大切です)
- 検査結果が出るまで、患者さんに院内で待ってもらう時間が長くありませんか?
- システムや設備の問題は?
- 予約システムや電子カルテ、Web問診、自動精算機などを導入していますか? または十分に活用できていますか?
- 診察室の数や待合室の広さなど、物理的なスペースが足りていますか?
待ち時間の問題は、受付から会計まで、クリニック全体の流れに関わる複合的な課題です。診察時間を無理に削るのではなく、診察前後のプロセスや情報共有の非効率な部分を見つけて改善していく視点が重要です。
もう「お待たせしました」ばかり言わない!実践的な待ち時間対策
原因が見えてきたら、具体的な対策を考えていきましょう。実績のある方法をご紹介します。
(1)予約と患者さんの流れをスムーズに
- 予約システムの導入・見直し:
- 効果: 患者さんが来院する時間を分散させ、混雑を緩和します。電話対応の負担も減らせます。
- ポイント: 単純な順番取りだけでなく、時間帯で予約枠を区切る「時間帯予約制」や、両方を組み合わせたハイブリッド型が有効です。Webやアプリから24時間予約できるようにすると、患者さんの利便性も向上します。
- 賢い予約枠の作り方:
- 新患、再診、処置内容などによって、予約枠の長さを調整しましょう。時間がかかりそうな患者さんは、比較的空いている時間帯に予約するなどの工夫も有効です。
- Web問診で受付時間を短縮!:
- 効果: 来院前にスマホやPCで問診に答えてもらうことで、受付での問診票記入やスタッフによる聞き取り、カルテ入力の時間を大幅に削減できます。医師も事前に情報を把握でき、診察がスムーズになります。院内滞在時間の短縮や感染対策にもつながります。
- ポイント: 予約システムと連携できるものを選ぶと、さらに効率的です。
(2)クリニック内の業務を効率化
- 無駄な動き、ありませんか?ワークフロー改善:
- 患者さんが受付してから会計を終えるまでの流れ(患者動線)を図にしてみて、どこで時間がかかっているか(ボトルネック)を見つけましょう。「受付と診察室で同じことを聞いている」などの無駄をなくします。
- 仕事の分担を見直そう(タスクシフト):
- 医師、看護師、事務スタッフそれぞれの専門性を活かせるように、業務分担を見直しましょう。例えば、バイタル測定や簡単な問診、書類作成補助などを看護師さんや事務スタッフにお願いすることで、先生は診察に集中できます。スタッフ間の情報共有も大切です。
- スペースを上手に使う工夫:
- 診察室が複数ある場合、患者さんが一部屋で準備している間に、先生が別の部屋で診察する、といった使い方で効率を上げられます。待合室のレイアウトを見直し、スムーズな動線を確保することも重要です。
(3)ITツールを賢く活用!
テクノロジーは待ち時間対策の強い味方です。個別のツール導入だけでなく、それらが連携してクリニック全体の業務を改善することが理想です。
以下では、待ち時間の減少につながるサービスを紹介します。
- AI文書作成:
- 効果: 電子カルテの内容をもとに、紹介状を自動で作成できるAIサービスも最近は登場しております。急ぎで紹介状を書かないといけない患者さんが発生した場合も、AIが瞬時に文面を生成してくれるため、待ち時間を大幅に減らせます。
- 代表サービス:極 医療文書
- 予約システム:
- 効果: 24時間ネット予約で電話対応業務から解放され、予約の取りこぼしも防ぎます。さらに自動リマインダーでドタキャンを減らし、クリニック経営の安定化に貢献します。
- 代表サービス:ドクターキューブ
- Web問診システム:
- 効果: 来院前の問診入力で、受付業務の効率化と患者さんの待ち時間を大幅に短縮。電子カルテ連携により面倒な転記作業から解放され、入力ミスも防げます。
- 代表サービス:ユビー
まとめ:自院に合った対策で、患者満足度と効率アップを目指しましょう
クリニックの待ち時間問題は、患者さんの満足度だけでなく、クリニックの評判、経営、そしてスタッフの働きがいにも影響する重要な課題です。
まずは自院の状況を分析し、どこに待ち時間の原因があるのかを探ることから始めましょう。そして、予約システムの改善、Web問診の導入、業務フローの見直し、ITツールの活用など、できるところから対策を講じていくことが大切です。
テクノロジーは強力なツールですが、それを使うのは「人」です。導入するだけでなく、クリニック全体の業務プロセスを見直し、スタッフの皆さんと協力して取り組むことが成功の鍵となります。
この記事が、先生のクリニックの待ち時間対策を進める上で、少しでもお役に立てれば幸いです。